「金継ぎで直した器は、そのまま食事に使えますか」。教室を探している方からよく出る疑問です。
結論から言うと、使った材料によって答えが変わります。「金継ぎだから安全」とも「簡易だから危険」とも言い切れません。
天然の漆で直した場合
漆は、漆器として何百年も食器に使われてきた素材です。しっかり固まったあとの本漆は、食器として使えます。
ただし「固まったあと」が条件です。漆は乾かすのではなく湿度のある場所で固めるもので、表面が乾いたように見えても内部が固まりきっていないことがあります。教室の指示に従い、指定された期間は置いてから使い始めてください。
簡易金継ぎで直した場合
簡易金継ぎでは、合成うるし・接着剤・パテなどが使われます。ここに「食品に触れる用途を想定していない製品」が含まれることがあるのが問題です。
工作用の接着剤やエポキシ樹脂は、器を接ぐ強度としては十分でも、口に入るものが触れる場所に使う前提で作られていません。こうした材料で直した器は、飾りや小物として使うほうが無難です。
「食品衛生法に適合」と書かれている教室
一方で、簡易金継ぎでも食品衛生法の基準を満たす材料を選んでいる教室があります。当サイトの掲載教室にも、「使用する道具はすべて食品衛生法のポジティブリスト制度に適合している」と明記しているところがありました。
ポジティブリスト制度は、食品に触れる器具や容器包装に使ってよい物質をあらかじめ定めておく仕組みです。これに適合した材料を使っているなら、簡易金継ぎでも食器として使える、という説明になります。
逆に言えば、そう書かれていない簡易金継ぎの教室では、確認が必要ということです。
申し込む前に聞いておきたいこと
ひとことで済みます。
「直したあと、食器として使えますか」
この質問に対して、材料の名前まで挙げて説明してくれる教室は信頼できます。あいまいな返事なら、飾り用と考えておくほうが安全です。
直したあとの扱いで気をつけること
- 電子レンジは使わない:金粉は金属なので火花が出るおそれがあります
- 食洗機は避ける:高温と強い洗剤は漆の傷みにつながります
- 長時間の浸け置きをしない:継ぎ目に水が入り続けるのは避けたいところです
- 洗うときは柔らかいスポンジで:金の部分を強くこすらないでください
直した器は「元通り」ではなく「新しい状態」です。少しだけ気をつかって使うと、長く付き合えます。
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