金継ぎは教室に通わなくても、市販のキットを使えば自宅で始められます。ただし「何を使うか」で難易度も、直したあとの使い道も変わります。ここでは自分でやる場合の進め方をまとめました。
キットは大きく2種類
| 本漆キット | 簡易キット | |
|---|---|---|
| 中身 | 生漆・砥の粉・金粉・筆・ヘラなど | 合成うるし・接着剤・パテ・金色粉 |
| 仕上がりまで | 2〜6か月 | 数日〜1日 |
| むずかしさ | 高い(乾かし管理が要る) | 低い |
| 食器として | 使える | 製品による(要確認) |
| かぶれ | 体質により起こる | 起こらない材料が多い |
教室で使う道具一式は、当サイトの掲載教室では4,400〜19,800円という価格帯でした。市販のキットもおおむね同じくらいの幅に収まります。
キットを買う前に確認する3点
1. 直した器を食事に使うか
ここがいちばん大事です。食卓で使うつもりなら、本漆のキットか、食品衛生法の基準に適合していると明記された製品を選んでください。詳しくは金継ぎで直した器は食器として使える?安全性の考え方で説明しています。
2. 金粉が含まれているか
キットの価格差の多くは金粉です。純金の粉は高価なため、真鍮粉や錫粉で代用した製品も多くあります。「金色に見えればよい」のか「本物の金で仕上げたい」のかで選ぶものが変わります。
3. 器の割れ方に合っているか
「欠け」だけを直すのと「割れ」をつなぐのでは、必要な材料が違います。粉々になった器や、大きく欠けた器は、キットの分量では足りないことがあります。
本漆でやる場合の流れ
- 接着:割れた面を漆で接ぎ、動かないよう固定して数日置く
- 欠け埋め:漆と砥の粉を練った「錆漆」で欠けを埋め、固まったら削って形を整える
- 塗り:継ぎ目に漆を塗り重ね、なめらかにする
- 金粉まき:漆が乾ききる前に金粉をまいて定着させる
- 磨き:仕上げに磨いて艶を出す
作業そのものは短時間ですが、各工程のあいだに数日〜1週間の待ち時間が入ります。詳しくは金継ぎはどれくらいかかる?通う回数と期間の目安をご覧ください。
独学でつまずきやすいところ
漆が固まらない
漆は乾燥させるものではなく、湿度のある場所で固めるものです。乾いた部屋に置いておくといつまでも固まりません。段ボール箱に濡れ布巾を入れた簡易的な「風呂」を作って、その中で固めるのが一般的です。
かぶれる
天然の漆は体質によってかぶれます。手袋・長袖を使い、肌に付けないことが基本です。汗をかく季節は特に出やすいと注意している教室もありました。初めての方は、いきなり大量に扱わず少量から試すほうが安全です。
金粉をまくタイミングが分からない
漆が乾ききってからでは金粉が付きません。逆に早すぎると沈みます。この「ちょうどよい頃合い」は、文章では伝わりにくく、実物を見て覚えるのが早い部分です。独学で最もつまずきやすい工程でもあります。
教室に通ったほうがよい場合
- 大切な器を直したい:失敗のやり直しがきかない器は、教わってからのほうが安心です
- 本漆を初めて扱う:かぶれ対策と固め方は、教わると格段に楽になります
- 割れが複雑:破片が多い、欠けが大きいなど、判断が要る場合
- 道具を買うか迷っている:道具を貸してくれる教室なら、買う前に試せます
当サイトの掲載教室では53教室のうち28教室が道具のレンタルやキット付きでした。「まず1回試してから、自分でやるか決める」という進め方もできます。
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